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Elongation Factor Tuのコンフォメーション変化を見る Elongation Factor Tuの例
1. Elongation Factor TuのGTPアナログ複合体と、GDP複合体の重ね合わせ
Elongation Factor Tu (EF-Tu) のGTPアナログGNP(GDPNP)が結合しているGTP結合型(Magenta)とGDP結合型(Cyan)の2つの構造をAuto-Fit機能により重ね合わせました(図2)。EF-Tuは、GTP結合部位を含むドメイン1とβバレルのドメイン2及びドメイン3の3つのドメインから構成されます(図1)。GTP結合型とGDP結合型では、ドメイン2及びドメイン3の配置が大きく異なるのがわかります。
Elongation Factor Tuは、GTPアナログが結合した状態(1EFT)とGDPが結合した状態(1TUI)の構造が決定されています。
これら2つの立体構造を重ね合わせることにより、GTP結合型とGDP結合型のコンフォメーション変化をわかりやすく表示することができます。また、構造比較により、コンフォメーションが異なる部分を検出することができます。
図1 EF-TuのGTPアナログのGNP(GDPNP)複合体 (1EFT)を左に、GDP複合体(1TUI)を右に示す。2つの構造をAuto-Fit機能により重ね合わせた後、併置して表示。
図2 GTP結合型(Magenta)とGDP結合型(Cyan)の重ね合わせ。
3. GTP結合ドメイン内のコンフォメーション変化
次に、この変化を引き起こすGTPを結合するドメイン1で、
コンフォメーションが変化している部分(図4A、白丸で囲んだ領域)を同定します。ここでは、Structure Comparisonの結果から、ドメイン1でアミノ酸残基のCαが2.0Åよりも離れている構造を検出しました。K52-I63の12残基およびC82-A97の
16残基に相当します(図4B)。 図4BでGTP結合型(左)では
ヘリックスになっているK52-I63の青の部分が、GDP結合型(右)ではβストランドを形成して、ドメイン3の方へ伸びているのがわかります。C82-Q98の部分も、ヘリックスの位置が変化しています。
図4B: ドメイン1内でコンフォメーションが変化した部分(K52-I63およびC82-Q98)をK52-I63およびC82-Q98とGNP, GDPをWorkspaceに取り出して表示。
コンフォメーション変化を切替え表示で
GTP結合型とGDP結合型の図を切替えて表示するとコンフォメーション変化が把握しやすくなります。ここでは、変化の様子をわかりやすく示すため、2つの図から動画を作成しました。再生してご覧下さい。
Waals 2013 チュートリアルでは、2つのファイルを開いてから重ね合わせ、切替え表示、動画にするまでの手順を詳しくご紹介しています。ご参照下さい。
図4A: GTP結合型(左)とGDP結合型(右)を重ね合わせた後併置したもの。ドメイン1内では白丸で囲んだ領域のコンフォメーションが変化している。
解析事例
GDP
GNP
K52
K52
A97
A97
I63
I63
C82
C82
Domain I
Domain I
II
II
III
III
Domain I
Domain I
II
II
III
III
Domain I
Domain I
II
II
III
III
分子病態解析での使用例 変異による立体構造への影響を調べる
ダイマーインタフェースを抽出する β-Hexosaminidase Bの例
PDBデータの向きを揃える Protein Kinase Aの例1
阻害剤との結合様式を比較する Protein Kinase Aの例2
コンフォメーション変化を見る EF-Tuの例
阻害剤との相互作用を調べる PP1と阻害剤Calyculinの例
Bファクターで比較する α-Galactosidaseの例
2. ドメイン2の位置はどのくらい変化するか?
大きく動いているように見えるドメイン2の位置はどのくらい違うのでしょうか。ここでは、ドメイン2のGly233の距離を測定しました。GTP結合型(Light Red)とGDP結合型(Light Blue)のGly233のCαの距離は、45.43Åでした。ドメイン2の位置が大きく動いているのがわかります。
重ね合わせた状態で残基間の距離を測定すれば、動いた距離を数値で示すことができます。
図3 GTP結合型(Light Red)とGDP結合型(Light Blue)を併置した時のGly233の位置(左)と重ね合わせた時の距離(右)。
複数のPDBデータを使うときは、画面の分割・切り替えが便利です。
複数の図から動画を作成できます。
好きなスタイルや色で図を作成
全体を二次構造の色分け表示にし、ドメイン1でコンフォメーションが変化した領域を緑で示しています。
A
B
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